“日本一稼いだヒップホップアーティスト”は

デビューは'99年であったかと今回再認識させられた格好の嵐ではあったが、とりあえず歌詞カードをパラパラとやるだけでも――20年の歴史だ――結構色々な情景が脳裏に浮かんでくるものである。


 それはひとり嵐というグループの範疇にとどまらない。


 ところで、このアルバムの中でなんといっても思い出深いのはやはり『A・RA・SHI』だった。あの♪あらっし~の響きがいいんだか悪いんだか。未だに耳について離れないのは、どうやら担当の若者も一緒みたいでしたですね。


 懐かしんでいるうち、作者馬飼野(まかいの)康二の息の長いキャリアなどについても、あれこれ思いを致すこととなった。


 和製ポップスにニューミュージック、そしてjpopと、'70年代から今日にいたるまでの“洋風歌謡曲”の歴史を辿る時、馬飼野さんの存在意義は(たとえば筒美京平さんなどと比べると)、これまであまり語られてこなかった気もするのだが、嵐に絞っただけでも、キャリアに大きく貢献する作品を少なからずものしていることが、今回の選曲ラインナップからもよくみてとれる。いわゆる職業作曲家としては、jpop以降に出てきた人たちと明らかに異なるスタンスを貫きながら、今聴いても決して古びることのない作風は、唯一無二といっていい。いや、このように“ポップス的な雰囲気を持つ歌謡曲”をサクッと書き上げることの出来る音楽家の名は、馬飼野康二の他にチャート上などでもうほとんど見ることがなくなってしまった! と書くほうがいいか? てな具合で、この歌詞カード、なにかと“読みがい”があるのだ。

 そうした文脈に於いて目がいったのが櫻井翔の健闘ぶりだ。今回のベスト盤中、11作品にラップ作詞で名を連ねる。今時のジャニーズはというと、所属する男の子たちは基本的に踊ったり歌ったり、パフォーマンス専門職の印象が強く、“書き”は“ソロ活動時における堂本剛”や山下智久などごく少数に限られるだろう。ここまで恒常的に関わってみせた売れっ子は、櫻井翔ぐらいではなかろうか。


 いずれにせよ嵐の音楽スタイルの変遷に焦点を絞ると、櫻井翔というラップ作詞家を擁していたことは――こうして立て続けに曲を聴いてみると――ことのほか大きな意味を持つものだったのかも? と考えさせられた。そのあたりも、このベスト盤の聴き処のひとつなのやも知れぬ。


 それにしても、その印税たるや相当な額にもなるはずで、ひょっとするとよ、櫻井翔は“日本で一番稼いだヒップホップアーティスト”ってぇことにもなるのかしらん(笑)。


 そうだ。そういえば櫻井翔ってZeebraの慶応(小学校)の後輩じゃんね。じゃ、二人して母校の教員のていたらく(文春の記事参照)についてでもラップしてくれたら笑えね? その時は俺も元ラッパーの先輩(!?)として駆けつけるからさぁ……。で、そこまで揃ったらあとは是非ともUZIにも声はかけたいものだ。

"“日本一稼いだヒップホップアーティスト”は"へのコメントを書く

お名前:
メールアドレス:
ホームページアドレス:
コメント: