ジュリーこと沢田研二が、40年前の名作映画で見せた演技と色気

どこか影のある甘いマスクと伸びやかで艶のある美声。持ち前の色気に加え、斬新な衣装やパフォーマンスで70~80年代の歌謡界を席巻した男、ジュリーこと沢田研二。「カサブランカ・ダンディ」ではウイスキーを霧のように吹いたり、「TOKIO」では電飾付きの衣装を着てパラシュートを背負ったりと、印象的なステージでTV画面を賑わせたことは、当時を知る人なら記憶にあるかと思う。

歌手として活躍する一方で、沢田は俳優としても、多くの人々の記憶に残る作品を生み出している。特に印象深いのは1979年公開の『太陽を盗んだ男』で、第4回報知映画祭・主演男優賞を受賞するほど、その演技は秀逸だった。この映画『太陽を盗んだ男』は、2月27日(木)には衛星劇場で放送される。


本作品で沢田が演じたのは、主人公の中学校の理科教師・城戸誠。城戸が原子力発電所からプルトニウムを盗み出して手製の原爆を作り上げ、日本政府を脅迫するというストーリーだ。

しかし本気のテロリストというわけではなく、城戸自身、原爆で何をすべきか明確な目的を持っていないところに、この作品の妙がある。自分の部屋で原爆をサッカーボールのように弄び、「いったい何がしたいんだ、お前は?」と話しかけるシーンはその象徴と言える。政府への要求もプロ野球のナイター中継の延長や、ザ・ローリング・ストーンズの来日公演と、原爆という強大な力を持つ男らしからぬものだ。


時として何を考えているかわからなくなる城戸を、沢田は非常にうまく演じている。学校の教室で窓の外を憂鬱な表情で眺めているシーンがあるかと思えば、原爆が完成した時にはガイガーカウンターをマイク代わりにして大はしゃぎで歌ったりもする。女装して脅迫電話をかけるコミカルなシーンもあるし、可愛がっている猫が死んだ時は悲しみに沈む。クールにしてニヒル、コミカルにしてシニカル。実に表情が豊かなのだ。


持ち前の甘いマスクと相まって、それらすべてがカッコよく見えると同時に、その奥には深く、鬱屈とした何かが潜んでいるように見えるのも、この作品における沢田の魅力だ。当時の日本の若者には閉塞感、虚無感が漂っていたと言われ、城戸という男の行動と沢田の演技から、そんな世相までもが感じ取れる。

また男性としての色気を出した全裸のシャワーシーンもあるし、ラスト前には菅原文太演じる山下満州男警部との対決もある。恐怖に顔を歪める沢田の迫真の演技は必見だ。

映画自体も、皇居前広場でゲリラ撮影を行ったり、逮捕覚悟で高速道路でノロノロ運転をし、後続車を止めてカーチェイスの撮影をしたりと、さまざまな逸話が残されている。そんなところもまた、この作品の魅力と言えるだろう。

公開当時はカルト映画として扱われがちだったが、著名人が好きな映画に挙げ、多くのクリエイターに影響を与えたことが広まり、今では名作として世に知られるようになった。当時は無かったネットにおいても、本作における沢田の演技を絶賛する声が多く見られる。画面に蘇る当時の問題作、そして現在の名作『太陽を盗んだ男』で、沢田研二の演技と色気に酔いしれたい

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 0

この記事へのコメント