時代の寵児・ジュリーと新進俳優・真田広之の競演

『魔界転生』も山田風太郎の小説を基に深作欣二のメガホンにより1981年に映画化された角川作品だが、今のように「性の多様化」という概念がなかった時代に、妖艶なメイクを施した沢田研二演じる天草四郎時貞と、真田広之演じる伊賀の霧丸のあまりにも耽美な同性同士のキスシーンは、とてつもないインパクトとセンセーションを巻き起こした。

この時代の沢田研二(ジュリー)といえば、「TOKIO」(1980年)のパラシュートを背負った衣装をはじめ、「OH! ギャル」(1979年)でマレーネ・ディートリヒ風のメイクをしたり、男性歌手初のオールヌード写真集を発売したりと、今でいうビジュアル系やジェンダーレスの先駆けともいえる存在。

片や真田広之は、今では日本を飛び出し『アベンジャーズ/エンドゲーム』(2019年)に出演するハリウッド俳優となったが、当時は千葉真一が主宰するジャパンアクションクラブ出身の若手アクションスター。そのイケメンぶりからレコードを出したりと、アイドル俳優として注目されてきたところだった。


■監督は巨匠・深作欣二。観客動員数200万人の大ヒット
ふたりが共演した『魔界転生』は、島原の乱で非業の死を遂げた天草四郎が悪魔の力で蘇り、細川ガラシャ夫人、宮本武蔵など現世に未練のある者たちを魔界衆として再生させ、徳川幕府への復讐を企てるという物語。天草四郎が唱える「エロイムエッサイム 我は求め訴えたり!」という復活の呪文もブームとなった。

天草四郎のジュリーと柳生十兵衛の千葉真一というキャスティングありきで制作されたという本作。天草四郎は、「絶世の美少年」と伝えられている人物だけに、性別をも超越した時代の寵児ジュリーにはピッタリ。そのジュリーと若手イケメン俳優の禁断のキスシーン(しかも真田広之は、これが初のキスシーン)という映像が呼び水となり、時代モノながら女性客が劇場に詰めかけ、観客動員数200万人というヒット作となった。

深作欣二監督だけに、上記のシーン以外にも見どころはいっぱい。千葉真一の当たり役ともいえる柳生十兵衛と、その父である柳生但馬守宗矩(若山富三郎)が炎上する江戸城で決闘するシーンはスターの凄みを見せてくれるし、細川ガラシャ夫人を演じた佳那晃子の怪しい美しさと妖艶なヌードも現代の女優にはない迫力が感じられる。38年前の作品だが、そこに映し出される当時の日本映画人たちの気概とエンタテインメント性には、今でも心を踊らされるはずだ。

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