「無」そして「超人の風情」を感じる大野智

そして、2010年の最後にどうしても語りたいのが、大野智さん主演の「怪物くん」。「怪物くん」を実写化すると聞いた時は、心配した人も多かったと思います。アニメの実写化はハードルがものすごく高い。しかし、大野さんはスルッと飛び越えてしまった。強い自己主張がある人ではないからこそハマる、というのはあるかもしれません。欲のなさで役に染まる。彼はそのタイプに該当するのではないでしょうか。何を考えているかわからない感じがとてもいい。嵐のリーダーを務めていながらも、決して引っ張っていくような感じではない。それでもメンバーに「リーダーは大野以外いない」と思わせる。そこが彼らしいですよね。

菅野美穂さんを語ったときに「変幻自在」と言いましたが、彼女にはポジティブに渦巻く意欲というか、自ら輝きを発散するエネルギーを感じます。大野さんは同じ変幻自在でも、どちらかというと「無」。何も受け付けない無ではなく、なんでも吸収していく無。2017年の映画「忍びの国」での伊賀一の忍び無門役は、よくぞ彼をキャスティングしてくれた、と思わずこぶしを握り締めたほどです(笑)。あれは大野さんにしかできない役でしょう。自ら求める姿勢はあまり見せない。でも、私たちが気づかないうちに、とんでもないハイスペックな技を会得している。そんな超人的な空気を感じます。

そのほかにも、2010年は「SPEC~警視庁公安部公安第五課 未詳事件特別対策係事件簿~」の加瀬亮さん、「モテキ」の森山未來さんなど、信念を感じる若手俳優の演技に感心することが多かったように思います。どう動くのか先が読みにくい。個性を出し過ぎないというのかな。そういう人が、内に秘めたものを表現した時のエネルギーの強さは本当にすごい。かなりの衝撃を伴って心に響きます。自分を曲げない人は、どの時代も魅力的ですし、その揺るぎない価値観は信頼を生みます。それはドラマだけでなく、どの分野も同じであろうと思います。


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